コンセプト

昭和をイメージ 関西白身文化を

開店するにあたり、コンセプトとして描いているのは「昭和」のイメージです。父は40年以上、神戸の自宅で寿司店を営んでおりまして、学校帰りに、いつも店の中を通って、自分の部屋に戻っていたのですが、いつも見ていた鮨屋の光景は、現代は主流のお任せコースではなく、好きなネタを好きなだけ頼む、ソウルフードとしての鮨でした。堅苦しくなく、楽しんでいただける。いちばん大切なのは、そういうシンプルなことだと考えています。
 こだわりを持っていたいのは、白身のネタです。大阪であれ神戸であれ、関西はやはり白身文化がベースにあると思います。茶碗蒸しも具材をたっぷり入れたものを楽しんでいただきたいです。それも親父が作ってくれた昭和の鮨屋の姿だと思っています。
 父の背中を追ってきましたが、「寿司はせ川」時代にはオーナーである島田紳助氏から、「芸人も料理人もいい舞台に立たなアカン。ここで輝け」と励まされ、「1年努力しても、一瞬の手抜きで全てを失う」と鼓舞されたことも感謝しています。「北新地 松庵」では開店の料理長を任され、立ち上げの難しさ、ゼロからお店を作っていく大変さを学ばせていただきました。ここまで続けてこられたことは自信にもつながりました。そして、いつも変わらないのが、お客様に喜んでいただけることの喜びです。これからも尽力して参ります。

<吉田 雅士 よしだ・まさし

 1972年、神戸市生まれ。神戸で寿司店を40年以上営む父の背中を見て育ち、加古川を皮切りに大阪・ミナミなどの寿司店で修行。奈良のホテルでは和食に従事し、さらに洋食の創作料理なども経験した。34歳の時から、島田紳助氏による大阪・ミナミの「寿司はせ川」で主任として6年、その後、大阪・北新地の和食店「北新地 松庵」の初代料理長を約6年半勤めた。2020年2月、「北堀江 鮨与志」を開店した。